在宅ワークスペースで求められる事 / What We Need in a Home Workspace.

最近多方面から、新型コロナウイルス関連のアンケートや、コメントを求められる事があり、対応していましたが、ブログにも書いておこうと思います。

新型コロナウイルスによって、建築計画のあり方に大きく影響が及んできていると思います。用途によってその影響の強弱はあると思いますが、特にオフィスのあり方は、立地、面積、計画、設備、どれもニーズが変わり、影響が大きと思っています。

それに伴って、当方が主に手がけている住宅系では、「在宅ワークスペースの拡充」のニーズを実感しています。それは、これまで求められてきたような、リビングの一角に設ける書斎コーナー的なスペースではなく、しっかり仕事が出来る独立した空間です。
それに対するこちら側の提案としては、単に面積を確保するだけではなく、外部空間との関係、具体的には光の入り方、風の抜け、見える風景などを考慮し、また天井高さの調整など空間のボリュームなども考えて計画したものを提案しています。つまり、リビングを計画するような感覚です。
それからもう一つ重要なのは、住宅の他のエリアとどういう「はなれ具合」にするかです。全く閉じた個室にすることは簡単ですが、それだけでは距離が有りすぎたり無さ過ぎたりします。この「はなれ具合」の設計は、実際の距離や音の伝わり方だけではなく、他のエリアと素材を変えて空間の雰囲気を変える事で心理的な距離を持たせること、あるいは、お互いの視線の間に中庭など緩和するエリアを設けて直接つなげない事など工夫が必要だと思っています。
考えることは、これまでも少しご依頼のあったいわゆるSOHOの計画と似ていますが、来客を伴わないことと、完全にはプライベートエリアと分けないことで、少し状況が違います。
現在実際に動いている案件では、隣地を購入されて増築し、充実した在宅ワークスペースを確保するケース、また新築物件で通常のLDKと寝室以外に在宅ワークスペース付きの計画を求めるケースなどがあります。また、コロナ前ですがご自宅をフルリノベーションをして、狭いながらも快適な在宅ワークスペースを確保した例もあります。
このように、これまで慣れ親しんでいない空間は、建築家の創造力と説明力が求められます。住宅に新たな機能が加わって、計画に時間がかかりますが、創造できる楽しみも増えています。

以下、これまで設計した在宅ワークスペースの一部の写真です。

中野のSOHOリノベーション
Double Wall House
T邸リノベーション