組子を使ったプロダクトデザイン
茨城県には高い技術力を持った建具、家具職人が多くいます。その技術のひとつに組子がありました。その技術を持続させて将来へ継承することと、これまでとは違う方法でも社会に貢献することを考えたいというのが元々の始まりです。
組子は欄間や扉などの建具、屏風などの家具として、空間を仕切ったり、空間に置かれる比較的大きめの、比較的高価な装飾品として用いられてきました。これをもっと小さくして、人が手軽に手に取ることができるプロダクト製品にすることができると、組子に新しい価値を与えると同時に、商品として、茨城県の建具家具職人の新たな事業へと繋がるのではないかと考えました。これまで一般消費者が容易に手に入れられなかった組子を、より身近に手に入れられるようにすることが、組子デザインを世の中に浸透させ、その結果、職人の技術を将来へ継承することに繋がるのではないかと思います。このことを期待して今回つくりあげたのが木製小物入れの「組子のイエ」です。
組子のもつ美しい模様、繊細さ、正確さ、透け、木の表情、木の手触りなどの特徴は、日本らしさの特徴と言うことができるかもしれません。つまり、この「組子のイエ」は日本らしさをパッケージにした商品と言えます。家型の形状はどこか愛らしく目を引き、伝統的でありながらモダンな感覚をもたらします。また屋根が取り外せるようになっていて、中に物を入れられるようにしました。使用例としては、アクセサリーなどの小物入れとして、小さな照明器具として、また飾りの物のコレクションとしてなど、使う側のアイデアで色々な用途に利用できるのではないかと考えています。
用途:小物入れ
製作会社:草苅木工
製作年:2012年
Use : Accessory case
Manufacturing company : Kusakari Mokkou
Production year : 2012
photo by Naotake Moriyoshi