D-House

平屋で多様な居場所をつくる

平屋のメリットとして、
各部屋が近く、動線が明快で使いやすい、
階段がないぶん面積を有効利用できる、
2階の床がなく地震時に1階と2階との間で折れる危険性がない、
足場無しでメンテナンスが可能、
等有利な点が多くあります。
それに対しデメリットとして、空間が単調になりがちというのがあります。
この住宅は平屋として、機能的でありながら、空間が単調でなく様々な居場所ができないかと考えました。まず、平面的に各部屋を外部に出たり引いたりする構成として、部屋ごとに外部との距離感を変えています。そして引いたところをテラスにして、内-外-内の配置を作り、外部空間を室内に取り込んでいます。また、各部屋で壁と開口部の向きを変えて、部屋ごとに見る方向が変わるようにしました。その結果、太陽光の位置、樹木との距離や背景の奥行きが各部屋で違うようにしました。さらに、各部屋で天井高さや天井勾配を変えて、断面的な操作で各部屋の量感も変えています。
このように、各部屋それぞれがグラフィックイコライザ(音の調整機)のように違う音を響かせ、住まい全体では心地よい音楽がながれているような住まいを目指しました。

所在地:東京都世田谷区

用途:一戸建ての住宅

構造・規模:木造在来工法・平屋

延床面積:138㎡

竣工年:2018年

写真撮影:繁田諭

Site : Setagaya-ku, Tokyo

Use : Private house

Structure : Wood

Floors : One-story

Total floor area : 138sqm

Completion year : 2018

photo by Satoshi Shigeta

掲載誌:日経アーキテクチュア No.1176